2015年12月12日

高金利で融資期間が長い金融機関さんは劇薬のようなもの。

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旅団長のブログに書いてあったリンク先の記事が、あまりにもあるあるで苦笑い。



金融庁、不動産融資急拡大で一部金融機関からヒアリング=関係筋



一部の地方銀行のほか、外国金融機関の日本法人の一部も対象になっているもようだ。



カタカナだったり英字3文字だったりするところですね、わかります。

不動産賃貸業に足を踏み入れた人ならほぼ間違いなく知っているところばかりです。

私自身は、先日の地方RC物件の融資付の中で、さらっと「一部の地方銀行」の中で

一番金利が高いと思われるところの残枠を把握したところ、まだそこそこの規模の物件を

購入できるくらいの残枠がありました。使い切らないと損だと思っています(?)。



金融庁がヒアリングしていると思われる金融機関さんは、総じて金利は高めです。しかし

耐用年数オーバーで長く融資期間が組めるから、目先のキャッシュフローを出すには

これらの金融機関さんを使うのも決して悪いことではないと考えております。



ただ、劇薬には当然ながら副作用があるので、そこをきちんと理解していれば、です。



例えば、築35年のRC物件があったとします。利回りは15%だったとしましょう。

一般的な金融機関さんであれば、12年がせいぜいですので、たとえ利回り15%でも

キャッシュフローはギリギリの線になってしまうことと思います。しかし某金融機関では

これに25年の融資を組むことができますので、キャッシュフローもバッチリです。



しかし、この場合の欠点として、とにかく残債が減らないということが挙げられます。

前述のケースで1億円借りたとして、10年後の残債を比較してみることにします。

なお、数字は計算結果を適当に四捨五入しているので、あくまで概算です。

また、借入額は1億で元利金等としました。



前者(12年・1.5%):返済額76万/月、残債1800万

後者(25年・4.5%):返済額55万/月、残債7250万



どうでしょう、この差。



1億で利回り15%だと、年間家賃収入は1500万となります。

経費率を賃料の20%(実際はもっとかかると思います)とすると、1200万。

10年間の累積キャッシュフローは、前者が2880万、後者が5400万です。



ここで、元本返済分を「預金」として考えてみます。

自由に引き出せないものの、売却すればその分は手元に戻ってくることになります。

資産が増加しているわけですから、そう考えて差し支えないでしょう。



前者:8200万+2880万=11080万

後者:2750万+5400万=8150万



約3000万くらい、キャッシュフローが出ない前者の方が儲かっているという結果に。

目先のキャッシュフローを出せばいいのかというと、必ずしもそうではないということが

なんとなく伝わるのではないでしょうか。



※実際は賃料収入低下や大規模修繕などがあり、こんなに綺麗にはいかないと思いますよ



さらに、この物件を売却しようとしたとします。



築35年から10年経過していますので、築45年です。

後者の金融機関さんで借りていると、少なくとも8000万くらいで売却しないと

残債が消えないので面白くないでしょう。しかし、築45年です。利回り18%と

いえども、なかなか買える人はいないと想像します。よほど良い立地なら別ですが。



他方、残債が1800万なら、3000万で売ってもいいわけです。あるいは累積の

キャッシュフローを使って全額返済してしまってもいいです。心の余裕が違います。



劇薬にはキャッシュフローという目先の恩恵があるものの、将来的にその物件を

どのように手放すのか、資産と負債のバランスがなかなか改善しないというデメリットを

どう捉えるか、という点にリスクがあると考えます。それでも手を出すのだ、という

ことであれば止めませんし、リスクを理解してリターンを得るなら良いと思います。



融資が出るからという点で、その後の流動性が低い物件を購入し、最悪の事態になっても

売るに売れずに万事休す・・・ということだけは避けたいですね。

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posted by ひろ* at 08:00 | Comment(0) | シミュレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月10日

らしんばんスっケルトンを使ってみた。

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大家学さんがスっケルトンになって動き始めました。



不動産投資黎明期に収益分析ツール「らしんばん」をリリースし、当時の投資家の間で話題になった

おおやがくさん。昨今は収益分析ツールが一般化してきた中で、らしんばんには注力しなくなり

地下に潜りつつプロ顔負けのセルフリフォーム日記(?)を執筆されておりました。



私自身はまだまだキャリアの浅い投資家ですので、大家学さんがらしんばんを作っていた頃のことは

知りませんでしたし、らしんばんを利用したこともありませんでした。正直、セルフリフォームの

スキルが半端ない方、という印象しかなかったのです^^;



去年、東京築古組の勉強会で初めて学さんとお会いしました。生の学さんを見た印象は・・・

爽やかなイケメンスポーツマン!

セルフリフォームより波乗りしてそうな、そんな感じです。しかし物腰は柔らかで、どことなく

クレバーな雰囲気を漂わせていました。



ところが、その勉強会で学さんの発表を聞いてぶったまげました。

先日のブログに書いていた減築リノベーションの事例だったのですが、ただの減築ではなく

深謀遠慮を巡らせた取り組みだったのです。詳細はここで書くわけにもいかないのですが、

その場にいるベテランもうなる内容でした。



あれ以来、学さんのブログはずっとチェックしていたのですが、何やら思うところがあったようで

久々に重い腰をあげてらしんばんの改良版(?)を新規リリースされました。

その名も「らしんばんスっケルトン」(”っ”だけ平仮名なのがポイントです、たぶん)。

こちらからダウンロードできます。



以下、作者からの紹介文でございます。

(これでビール一杯ゲット・・・げふんげふん)

------

これでどうた!待望の新商品の投入!「らしんばんスっケルトン」です。

「らしんばんスっケルトン」はたった一枚のエクセルシート上に構築された、ダイエットツール。

全ての関数類のパーツがスっケルトン状態で放置され、どんな構造になっているかも追うことが

出来るスーパーツール。それらの作り方も、コメント付きで捕捉されてているので、御自身の

ダイエットシミュレーターにも応用、転用可能ですよ!

さらに、最小の入力数で、シミュレーションの精度を限界まで向上させています。

見識の深い方であればその精度に震え上がることでしょう!



そして、今回は 黒、青、緑、ピンク、オレンジ、そして紫という豊富なラインナップ。

これをじっくり眺め、研究すると痩せることができます。(保証はしませんが、、、)

エクセルと不動産投資とダイエットツールに詳しければ簡単に作れるツールなんですが、

そんなことができるのは多分私、大家学だけでしょう。

エクセルの関数類を使いこなすのって、結構難しいんです。



また、同時に  「「らしんばんスっケルトン」ダイエット、これが分かれば完璧ね」という

PDFテキストも公開しています。あなたのダイエットの友に、是非使ってやってください。

------

なぜ「ダイエット」なのかは・・・リンク先のリンク先でご確認いただければよろしいかと。



ご本人曰く「『らしんばんスっケルトン』が広まれば、怪しいツールは一網打尽です!」とのこと。

怪しいツールが何なのか気になりますが、とりあえず無料なのにバックエンド商品がなくて便利なら

細かいことは何でもいいや(笑)



というわけで、さっそく私も現在購入検討している某地方の物件の情報を入力してみました。

以下、使ってみた感想です。



基本的な性能は素晴らしい!とうならざるを得ません。

重要な指標としてNet Valueを採用している、というのも面白い着眼点だと思いました。



元本返済って、すぐには引き出せない預金をしているような感覚だと思っています。

そこを数値化してグラフに表現し、キャッシュフローだけではないトータルでの利益を可視化する。

そんなツールになっていると思います。



世の中には、キャッシュフローは生まないけど不動産の価値が高くて結果的にお金がたまっている

ものもあれば、キャッシュフローは莫大だけど不動産自体の価値が低くて、利益の先食いを

しているに過ぎないものもあります。どちらもその特性を理解し、自分が求めるものが何か

(今は手元資金が少ないからキャッシュフローがほしい/サラリーマンの給与が高いので節税しつつ

 将来的に含み益を得られる不動産がほしい/などなど)をわかったうえで、このツールを使って

分析すると面白いのではないかと思います。



次に、個人的に改善してほしいなあと思った点。



その1:修繕費

築年数に応じて修繕費を調整できると、よりよいかなと思いました。金額自体は修繕費単価を

調整すれば変更することができますが、単価を調整しても築年数を考慮してくれないので

常に修繕費が一律になってしまいます。築5年でかかる修繕費と築30年でかかる修繕費が

一律ということはないと思うので、年数が浅ければもう少しかからない、とかそういう調整が

できるといいんじゃないかなと思いました。

※個人的には、修繕費はもう少し少なく計上されてもOKではないかと感じています。



その2:火災保険

火災保険は年単位の契約で融資期間中のみかける想定のようですが、サラリーマンの皆様が

一棟目を買うときに得てして使いがちな金利の高い某金融機関さんなどは、火災保険自体に

質権設定を求められます。銀行業界全体の風潮としては、質権を取る金融機関さんの方が

少数派のようですが・・・。



質権設定される金融機関さんの場合、融資年数分一括払いするように求められてしまいますので

年払いか一括払いかを選択できればさらにいいのかなーと思いました。



細かいことを言えばきりがないのは承知しています。しかしこれだけあればざっくりとした

分析は十分できることでしょう。



無料の収益計算ツールはいろいろと出ていますが、私としてはざっくりとした評価をするなら

らしんばんスっケルトンで、もうちょっと細かく入力値を入れられるなら、玉川陽介さんの

IRR計算のためのExcelシートがいいのではないかと思います。

もはや、無理に有料の収益計算ツールを購入する必要はなさそうです。



※玉川さんのは昔はフリーソフトでしたが、今は書籍購入者の特典になっているようです



再稼働しはじめた大家学さんのらしんばん。今後注目です。

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posted by ひろ* at 11:52 | Comment(2) | シミュレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月04日

候補物件のシミュレーション。

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巷ではDSCRだのNOIだのAMだのLTVだの小難しい言葉があふれています。

私、実はこういう言葉が大の苦手で、なぜもっとわかりやすい日本語にしないのかと

常々疑問をいただいている次第です。単に横文字が覚えられないと言うだけでもありますが。



そこで、そういう難しい言葉がよくわからない私が、どんな感じで収益分析をしているか

だらだらと書いてみたいと思います。



1.融資

物件情報を見たら、まず耐用年数以内での返済年数を考えます。

RCなら47年、S造なら34年、木造なら22年、軽量鉄骨もとりあえず木造と同じ。

上記から築年数を引いて、仮の融資期間を割り出します。

金利はとりあえず2.5%くらいにしておきます。

諸経費は物件価格の7%とします(不動産取得税や登記にかかる費用など)。

融資金額はひとまず最初は諸経費も含めた金額を融資で得る計算とします。



2.収入

とりあえず、今の家賃を入れておきます。



3.経費

固定資産税の額がわかればそれをそのまま経費にします。

わからない場合は概算と言うことで物件取得価格の0.7%と設定します。

空室率はとりあえず10%くらいにしておきます。

管理費は家賃収入の5%、修繕費は物件取得価格の0.5%程度を想定します。

雑費として、家賃収入の10%程度を計上しておきます。



4.計算

以上を組み合わせて計算します。

キャッシュフローについては、2の収入から3の経費と1で設定した融資に対する年間返済金額を

引き算することで数字が出てきます。これで「最大限融資を引いた場合のキャッシュフロー」が

計算できます。この金額が、1億円あたり300万前後ならとりあえずOKとしています。



5.リスク対応

いくつかのリスク対応の計算をします。



空室率25%、金利4.5%にして計算しなおします。

ないしは、キャッシュフローが0円になるところまで空室率や金利をあげてみます。

この数字が運営上許容できる最悪の数字になります。



次に、満室想定の家賃について、近隣相場にて引き直しをします。長期入居の方は家賃が高い傾向に

ありますので、今の家賃相場に引き直します。スーモやホームズで調べた家賃よりも少し低い

価格を設定するのがポイントです。スーモやホームズに出ている価格は「売れ残り価格」と

見た方がいいでしょう。成約している家賃はもう少し低いはずです。

この仮定で引き直した家賃でどうかを見てみます。



また、家賃が年々下がる計算もしておきます。今が最大で来年以降じわじわと下がるという

シミュレーションをしておきます。



上記を盛り込んだシミュレーション結果をいくつか保存しておきます。

銀行さんには少なくとも「通常パターン」と「最悪パターン」の2つは見せるようにします。



6.税引後キャッシュフロー

税引後のキャッシュフローも計算できるようなら計算します。

自分の現在の税率がわかれば、その物件の決算書上の収入を計算して税率をたたき出します。

決算書の数字を計算する方法は、こちらのエントリーが参考になると思います。



だいたいこのくらいやっておいて、キャッシュフローが常にプラスであればOKと考えます。

難しい英単語の分析指標は全く使っていませんが、おそらくこれくらい計算しておけば、

そういう数字もクリアできてるんじゃないかな?と思います。



このシミュレーションをしてみて数字があまり良くなければ、自己資金を入れる検討をします。

また、自己資金を入れてでも購入する価値のある物件かも見極めます。

上記はあくまで収益還元の考え方なので、積算で見た時にどうなのかということも改めて

考えなくてはなりませんが、そこは今回は割愛しちゃいました。



ということで、横文字が苦手な人の独り言でした。

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2012年10月17日

キャピタルゲインを狙うには。

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キャピタルとインカムをうまく組み合わせていく必要があるかなと感じ始めた今日この頃です。



元々資産がある人ならまだしも、私は一介のサラリーマン大家さんです。銀行さんが求めるような

資産をホイホイと出せるわけではありません。むしろどちらかと言えば、自宅もほとんど頭金を

出さずに買ってしまい、結婚式も挙げて・・・などとあれこれやってしまった後での不動産投資で

最初から金融資産はそんなにない状態でした。



2007年ごろの頭金ゼロでオーバーローンで云々という時代であれば、金融資産なんてものは

大したウェイトは占めなかったのでしょうけど、今は手元にお金があった方が融資はつけやすい。

そんな風に時代が変わっているからこそ、どうやって効率よく次の物件を購入する頭金を貯めるか、

というところを突きつめていかなくてはならないと思っています。



手元の流動資産を増やすためには、物件の売却も視野に入れていかなくてはならないと感じます。

キャピタル狙いの不動産投資、です。こうやって書くと、今の日本で土地の値段が下がる一方なのに

キャピタルとか寝ぼけたこと言ってんじゃねーよ!と言われてしまうかもしれません。海外不動産を

やろうと言っているのかと問われれば、それも違います。単純に物件を安く仕込めれば、

そういう方向での利益も考えられないことはないのではないでしょうか。



じゃあどのくらい安く仕込めればいいのか?考えてみましょう。



売却時の確定利益の計算方法は・・・

売却価格−購入価格+運用中キャッシュフロー−購入時諸経費−売却時諸経費

という計算式で求めます。



ここで売却時に得られる手残りについて簡単な例を示してみました。

実際は税務のことをもう少し突き詰めて考えないといけませんが、単純化するとこんな感じです。



・5000万、利回り12%でRC物件を購入(融資期間20年・自己資金1割・金利2.5%)

・稼働率90%で3年運用(管理費5%・修繕0.5%・固都税0.7%を年間売上に対して計上)

・減価償却は土地:建物=4:6

・5500万で売却

・購入諸経費を7%、売却諸経費を5%で計算

・キャッシュフローは家賃収入−固都税−修繕費−管理費−銀行返済で計算

・譲渡課税は(売却価格−(購入価格−経過年数分の減価償却の合計))×0.39で計算



購入に使ったお金・・・5000万+350万(諸経費)

運用中のキャッシュフロー・・・465万

売却に使ったお金・・・275万(諸経費)+312万(短期譲渡課税)



売却益・・・(5500万−5000万)+465万−(587万+350万)=28万



500万儲かったと思いきや、実は全然儲かっていません(汗)

3年程度の短期で売却してキャッシュフローを得ようとするならば、1割アップくらいだと

全然話にならないということですね。キャピタルを得るにはかなり安く仕込まないといけない、

ということが何となく理解できたかと思います。かくいう私も、この計算をしていて、これだと

利益が出ないんだなということを初めて把握しました(笑)



いくらくらいで利益が出るのかは、また別の機会に計算することにしましょう・・・。

今日はそろそろ会社に行く時間なので、いずれまたこのネタをテーマに書いてみることにします。


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posted by ひろ* at 09:00 | Comment(6) | シミュレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする