2020年04月01日

新コロ起因の不動産賃貸業クライシス、ひょっとしたら本当にあるかも?

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コロナの影響が不動産賃貸業にも波及する可能性を感じさせる記事が掲載されてました。

私みたいに返済比率が高めな人だと、これもまた死活問題なのではないかと・・・。



昨日、大家さん仲間の方が投稿している記事を見て、考えさせられました。



テナント賃料猶予を要請 ビル所有者に通知



ざっくり言えば、コロナの為に苦しくなってしまったテナントさんに対しては、

寛大な気持ちで家賃を猶予するよう求めたい、ということのようです。



国としては、家賃を払えず商売をたたまれると、法人からの税収が減ることになります。

また、雇用していた方が失業することになり、社会保険や所得税の収入源となります。

そして国民の生活を守れなかったと非難されることになり、ろくなことがないです。

そうならないよう先手を打って要請しているのでしょう。



私としても、今回の一時的な新コロ騒動の中で、行きつけのお店が家賃を払えなくなり

閉店するなどということになったら悲しいので、いち消費者としては反対する理由は

特にないなあと思います。



家賃の支払いが苦しいテナントさんが増えていることは事実でしょう。

実際、海外ではアディダスが家賃を一時的に払うのを止めたいと言い出したことが

ニュースになっております。



アディダス「家賃の支払い待って」 ドイツで非難殺到



アディダスほどの大企業がそう言わざるを得ない状況になってしまうのか、という衝撃を

私自身は受けましたが、ニュースの感じだと大企業が何を言ってるんだというトーンの

批判にさらされているようです。

世間が「アディダス>ビルオーナー」というパワーバランスと見ているから、弱いものを

コロナに便乗していじめているような構図に見えたのかな、と思いました。



アディダスの場合は店子さんがグローバルな大手企業だから上記のパワーバランスに

なりますが、一般的なパターンだとどうでしょう。恐らく、パワーバランスは逆に

「ビルオーナー>テナント」になるのだと思います。そうなると、家賃を普通に

貰うことが弱い者いじめだ、という論調が生まれかねません。

冒頭で書いた、国が検討しているビルオーナーにテナント賃料を減免するよう要請する、

という発想自体がその証拠だと思います。不動産オーナーは不動産を持っているのだから

お金もあるはず、だから弱いものに対して寛容であれ、と。



こういったお話はビルオーナーだけではなく、徐々に住居系にも波及してくるはずです。

例えば、こんな記事を見かけました。



家賃を払えないときは無理して払わないでください。諦めて住居を出ることもしないでください。



リーマンショックの頃に、年越し派遣村というのが話題になったことがありました。

ああいう形でニュースになれば、国も何らかの支援をせざるを得なくなるから、

そうなるように家賃を払わない運動を行いましょう、国は住居費に対して補償をする

方向を向いていないから、そこに気持ちを向けさせましょう、というのが著者の方の

意思なのだろうと推察は出来ます。



ただ、この記事を表面的に見れば、ただ単に新コロで苦しい人は家賃を払う必要なんて

ありません、と煽っているようにも見えかねません。



この記事は「オーナー>入居者」という構図を前提として書かれているのだと思います。

そしておそらく、これは世間一般の認識とそうズレてはいないでしょう。

しかし、一般的に思われている以上に不動産オーナーは保護されていないし、

こういった危機に弱い側面があると私は思っています。



地主さんもサラリーマン大家さんもですが、金融資産を潤沢に持っている人は少数で

大多数はその資産を不動産として所有しています。そしてその不動産にも、大部分は

借入がついて回っています。家賃が月に100万入るマンションを持っていたとしても

その100万がまるまる利益になると思ったら大間違い。銀行さんへの返済、管理費、

固定資産税、リフォーム代など様々な経費を差し引かれれば、手元に残るお金は

その半分とか、下手したら3割くらいとかになってしまいます。これは地主さんでも

状況は同じで、彼らは相続税対策と言う名のもとに利回りが高くないアパートを

建てている傾向があり、借入の返済を行っている立場です。



私も昔は、大家さんって何もしなくても家賃が入って、左うちわでウハウハだなあと

思っていた時期がありましたが、実際にやってみて大間違いだなあと思いました。

普通に資金繰り計算してひーひー言ってる時期もありました(汗)



その目減りした収入の中から、更に家賃を払えないと言う人が出てきたら・・・

不動産オーナーと言えども家賃が入ってこなければただの謝金大王です。

苦しい生活になるのは目に見えております。



不動産を売ればいいじゃないか、何もない庶民に比べたら恵まれてるでしょ?

確かにそういう一面はありますし、否定はしません。ただ、不動産の換金は時間が

かかります。最短で売っても1ヶ月以上、普通にやれば半年くらいの長丁場となります。

現金化するまでの間に生活が破綻したら?そもそも他の不動産オーナーも貧困化して

買い手がつかなかったら?



今手元にある貯金10万円と、不動産が売れたら売れたら手に入る現金1000万円。

下手したら、今ある10万の方が強いという状況かもしれません。不動産の売却なんて

所詮は捕らぬ狸の皮算用。たらればの世界です。



不動産オーナーが比較的恵まれた立場であることは決して否定しません。

今まさにお客様が減少して生活が苦しい事業主の方に比べれば断然マシです。

だから不動産オーナーがなぜ保護されないんだと声高に叫ぶつもりはありません。

ただ、皆さんが思っている以上に不動産オーナーも強者ではない。それだけです。

でも世間はそう思わない。まず事業者はそのギャップを理解しておかなくてはならない。

未曾有の危機に対して、強者たる不動産オーナーは弱者たる庶民を助けるべき、

という姿勢で世論や政策が動く。その覚悟を持っておくことが必要と思います。



そりゃあ、不動産関係者以外の人がこれを読んで、大家さんって自分たちと同じように

大変なんだなって思ってくれればありがたいですけど、こんな場末の不動産に特化した

ブログを門外漢の一般の方が読む余裕はないだろうと思うんです。

だからもう、事業をしている各人が覚悟を持つしかないよね、と。



保証会社さんを入れているから滞納に対しては安心できる、と思っている人がいれば

それも改めた方がいいでしょう。2008年に破産したリプラスという保証会社さん、

10年選手の不動産オーナーさんならご存知だと思います。保証会社の大手が破綻し

現場は大混乱に陥ったことがありました。家賃の代位弁済が保証会社さんの想定以上に

増えれば、同じような破綻劇だって起こるかもしれません。もはや万全なものなどなく

非常事態に陥ってしまうと悲観的に捉えるべきと思います。



政府だって冒頭のようなことを言い出すわけだから、オーナー保護なんて期待するのは

まず無理でしょう。だいたい、所得補償を一律ではなく所得制限を設けるっていう

ナンセンスなところが既に期待できません。去年まで高給取りだった人が会社から

新コロで激しく給料を減らされても、きっと補償されないでしょ?去年の年末段階で

お金持ちだった人にはお金は出しません、自助努力で解決してください、その峻別に

時間かけるからお金ない人もあと何ヶ月か待ってください、なんて悠長なことを

言ってるわけですから。とっとと一律でお金払うべきだと私は思いますけどね・・・。



おっと、政治のことと野球のことは書かない主義なのに、思わず書いてしまった。

政治的なところは色々な意見があると思うので、個人の便所の落書きと思ってください。

議論するつもりはないです。



というわけで、新コロが長引くと借入のあるオーナーは本当に苦しくなるかもしれない、

という危機感を持つことが重要だと思います。そして、世間から見られている自分の

立場を認識し、実際の自分の財務とのギャップも認識することが必要です。

その上で、新コロに対して社会全体で立ち向かうために、苦しい中で自分にできることは

何かを考える必要があります。自分が死ぬわけにはいきませんので、自衛策が必要です。

家賃を払えないという話になった場合、入居者さんが便乗減免なのか本当に払えないのか

判断する術も余裕もなくなるはずです。要請を受ける前提で、どうするかを今から

考えておく必要があります。



で、私も2つばかりこの危機に対してどうするべきかを検討しております。

具体的に何をしたらいいかというと・・・



長くなってきたので明日に続きます。

(引っ張ってるわけじゃないですからね!長すぎると論旨がぼやけるからです)



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posted by ひろ* at 08:26 | Comment(1) | 思想・発想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする